1928年、大阪の富商・内藤為三郎が国有林を払い下げて開発した六甲山麓の別荘地、六麓荘。周囲の自然景観と調和したこのエリアは、当初から厳格な規制のもとで開発され、美観を保つために工夫を凝らしてきました。特に、電線を地中に埋めるという日本初の試みが行われ、環境への配慮がなされています。

今日の六麓荘は、1区画あたり400平方メートル（約120坪）以上の敷地面積が求められ、建物の高さは2階建てが基本。建築に関しても屋根や壁の色が制限され、地域の景観に影響を与えないようにされています。住民は、建築計画を事務局に提出し、近隣住民に説明する義務があります。また、町内会には加入金50万円を支払うことが求められ、ここで暮らすには一層の条件が整えられています。

六麓荘に長年住む朝倉幸恵さん（仮名）は、豪華な邸宅を自慢する一人です。大理石でできた廊下と高級磁器、シャンデリアに囲まれたリビングルームからは、大阪湾と生駒山地を一望することができ、その贅沢な空間に包まれて日々を過ごしています。現在、このエリアには多くの医療・医薬品業界の経営者が住んでおり、特に注目を集めているのは小林製薬や武田薬品工業の創業家です。

六麓荘内の家々は、土地の標高が高いほど裕福な住民が住むとされ、周囲の街並みはまさに高級住宅地の代表格と言えるでしょう。朝倉家の2階には、茶室があり、まるで時を超えたような風情を感じさせます。

六麓荘は、豪華な邸宅と美しい自然環境が融合した特別な場所であり、その住民たちは、他の地域では味わえない静かで優雅な生活を楽しんでいるのです。