生まれて数日で殺処分される牛がいます。「この現実を知って欲しい」と活動する男性がいます。 【動画を見る】進学校→六本木でホスト→繁殖農家 「殺処分される子牛を救いたい」
約80頭の黒毛和牛を飼育している熊本市東区のニューファームスタイル。富永翔太郎さん(40)は、子牛を家畜市場に出荷する繁殖農家です。 「けさ生まれました。僕が来たときには生まれていたんですけど、おっぱい飲んでました」
この日生まれた黒毛和牛は、生後9カ月まで育てて出荷されますが、生まれてすぐに殺処分される牛がいるといいます。 「人間も赤ちゃんができたからお母さんはおっぱいが出るようになるように、ジャージー牛も妊娠・出産を経て、ジャージー牛乳が搾れるようになる。妊娠して出産するということは、子どもが生まれるんですよね。メスだったらまた育てて、ジャージー牛乳を搾ればいいんですけど、オスが生まれた場合、それを殺すんですよ」
主に岡山や北海道、熊本で飼われている薄茶色の毛色をした「ジャージー牛」。日本にいる乳牛全体の0.8%ほどしかいない希少な牛です。 食用にすると、味が良いと言われていますが、ホルスタインや黒毛和牛よりも小さいため、育てるコストが見合わないという現実があります。 「ジャージーは育ててもあまり大きくならない。えさ代を80万かけて育てて、売った時に50万円にしかならないなら、育てることで赤字になるんで、育てずに殺処分しているんですね。それがかわいそうだなって」
家業を継いで知った厳しい現実…
「熊本高校を卒業して六本木でホストになって今牛飼い」 家業を継ぐ前は、東京でホストをしていたという富永さん。
「お酒を飲んで女の人としゃべってお金を稼ぐ、おしゃれな服を着て、夢のような仕事だなと思って不純な動機で行ったんですけど、全然違いました、現実はですね。地獄のような世界でした」 子どもの頃から家業は継がないと決めていましたが、熊本地震をきっかけに繁殖農家の道を志します。 「地震で牛舎が傷んだ、屋根も全部落ちて、その時、父と母が2人でやっていたんですけど、2人で復興するのは厳しいかなと思って帰ってきました」
今は、仕事にやりがいを感じる毎日を送っていると言います。 「かけた分返って来るというか。1人で100%の愛をかけるのは足りないけど、やっぱり、かけた分返ってくるっていうのは、すごいでかい」 牛と向き合う中で、子牛の殺処分という厳しい現実を目の当たりにしました。心を痛める一方で、利益を出すための農家の苦労も分かるため、複雑な思いです。 「かわいそうだけん、それを殺すなよっていうのも、その農家さんがかわいそう。育てたら損するんだから、かわいそうだけん殺すなよ、っていうのも酷な話だなと思って。何かできないかなと」
「殺処分から救いたい…」クラウドファンディングに挑戦
去年から、えさ代などの資金を募るクラウドファンディングに挑戦しています。これまで3回挑戦し、2回は目標を達成。現在、その資金をもとにオスの「ジャージー牛」2頭を育てていて、いつか食肉用として出荷したいと考えてます。 「『どうせ殺すんでしょ』ってよく言われたんですね。生後2日とか3日とかで殺すのと、1歳半とか2歳ぐらいまで育てて肉にする。確かに、どうせ殺すけど、処分されて産廃処分場に行って、ゴミみたいな扱いになるか、2歳まで育ててお肉になって人間に返ってくる、食べられるっていうのだったら、何ていうか…生まれた意義というか」 全国でも「ジャージー牛」を食肉用として出荷している農家は少ないため、手探りでの挑戦です。 「ジャージーを育ててる人ってあんまりいないから聞けない。でも、それが面白い。本当にこれがうまくいったら、ジャージーが美味しいということが有名になったら、殺すはずだった牛をいろんなところで、育てることができるようになるといいなと思ってやってます」
殺処分されるジャージー牛のオスについて知ってもらいたいと、現在、4回目のクラウドファンディングに挑戦中です。 「意外とみんな牛乳飲んでるけど知らない。その裏でこんな現実があるということですね。僕も知らなかった。自分が食べるもの、自分が飲むものにどういう現実があるか 。興味を持って欲しいなというのが生産者から消費者の皆さんへ伝えたい」
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