長年勤め上げた会社を退職し、待ちに待った年金生活が始まった小松さん(仮名・65歳)。しかし、最初の年金通知書を開いた瞬間、彼は思わず目を疑いました。「ねんきん定期便」で確認していた月16万円のはずが、実際の振込額は14万円程度しかなかったのです。
「これは間違いではないか?」と一時は役所に問い合わせようと考えた小松さん。しかし通知書をよく読むと、そこには明確な理由が記載されていました。実は16万円という金額は総支給額であり、そこから税金や社会保険料が差し引かれた結果が14万円だったのです。多くの年金受給者が経験するこの"認識ギャップ"に、小松さんも初めて気づきました。
さらに調査を進める中で、小松さんは年金制度に関する驚くべき事実を知ることになります。例えば、「65歳になれば自動的に年金が振り込まれる」と思っている人が多いですが、実際には誕生日の3ヶ月前に日本年金機構から送られてくる「年金請求書」に必要事項を記入して返送しなければなりません。この手続きを忘れると、せっかくの受給開始時期が遅れてしまう可能性があります。
また注目すべきは「繰下げ受給」制度です。66歳以降に受給開始時期を遅らせることで最大42%まで増額される可能性がありますが、「知らなかった」「手続き方法がわからない」という理由で活用していない高齢者が少なくありません。
さらに見落とされやすいのが家族加算です。「加給年金」と呼ばれる制度では、65歳未満の配偶者や18歳未満(障害のある場合は20歳未満)の子どもがいるときに一定額が加算されます。しかしこれも自動適用ではなく、「こんな制度があったのか!」と後悔する前に正しい知識を得ておく必要があります。
予想外の少なさに当初動揺した小松さんですが、「これからの人生設計を見直す良い機会になった」と前向きにとらえています。現在は週3日のアルバイトで収入を補いつつ、「老後資金についてもっと早く学んでおけばよかった」という後悔をもとに周囲へのアドバイスも始めました。
専門家によると「日本の公的年金だけでは理想的な老後生活を行うのは難しいケースが多いのが現状です」。だからこそ重要なのは、(1)正確な受取額を知ること、(2)各種控除や特例措置について調べること、(3)必要なら資産運用や就労による収入アップも検討することだといいます。
人生100年時代と言われる現代において、"第2の人生"とも言える退職後のライフプランを描く上で欠かせないのが正しい年金知識です。「まだ先のこと」「難しそうだから…」と考えているうちにあっという間に訪れる定年後の生活に向けて今から準備しておきたいものです。
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