日本の高齢社会において、65歳で年金を受給しながらも70代まで働き続ける人が増えています。専門家の間では「健康でいられる限り働くべき」という意見が主流ですが、実はこの選択には意外な落とし穴が。日本の年金制度では、一定以上の収入を得ると受け取れる年金額が減ってしまう仕組みになっているのです。
近年の日本では平均寿命が男性81歳、女性87歳に達し、健康寿命も70代半ばまで伸びています。これにより、「60代で引退」という従来のライフスタイルは大きく変化。内閣府の調査によれば、60歳以上の高齢者の約46%が70歳以上まで働き続ける意向を示しており、「できる限り長く働きたい」と考える人も20%を超えています。
しかしながら、このような就労意欲に対して現行の年金制度は必ずしも友好的とは言えません。問題となっているのが「在職老齢年金制度」。これは収入が多いほど受け取れる年金額が減っていくシステムで、特に65~69歳の場合、月28万円以上の収入があると一部カットされ始めます。
具体的な計算例を見てみましょう。例えば月30万円稼ぐ場合(年間360万円)、基本となる老齢厚生年金から15%程度(約5~6万円/月)削減されるケースがあります。これにより、「頑張って働けばその分損をする」という逆転現象が生じているのです。
政府はこうした状況を改善すべく、「75歳までの雇用確保義務化」(2025年4月施行予定)や「継続雇用年齢引き上げ」などの対策を進めています。また一部企業ではシニア向けフレックスタイム制やリモートワーク導入など多様な就業形態を取り入れ始めています。
超高齢社会における理想的な労働環境とは何か? 単純に「長く働けば良い」ではなく、「適切なバランスを見つけることが重要だとする専門家も少なくありません。「健康」「経済」「生きがい」この3つの要素をどう調和させるか―今後の制度改革において重要な視点となるでしょう。
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