減税のはずが手取りは増えない…違和感の理由
2024年に実施された1人あたり4万円の定額減税。しかし多くの人が「手取りがほとんど増えていない」と違和感を覚えた。その原因は、ひそかに進む「ステルス増税」にある。
「ステルス増税」とは、国民に気づかれにくい形で行われる増税のこと。表立った増税は政治的リスクが大きいため、政府は「少しずつ、広く、こっそり」負担を増やす方法をとっている。実際、国民の所得に占める税金と社会保険料の割合「国民負担率」は2022年には48.1%に達し、江戸時代の「四公六民」を超える重税感となっている。
給与明細には見えない増税の数々
特に標的にされているのが、サラリーマンの「天引き」だ。社会保険料はここ20年で急増し、2003年に72万円だったものが2024年には92万円と20万円もアップ。所得控除も段階的に縮小され、かつて存在した「年少扶養控除」や「特定扶養親族の上乗せ控除」も廃止された。
その結果、年収600万円の世帯では、手取りは2003年の約503万円から現在では474万円と、約30万円の実質的な減収となっている。
政府の思惑と財務省の増税戦略
こうしたステルス増税の背景には、財源不足を補いたい財務省の思惑と、自民党内の「緊縮財政派」の台頭がある。安藤裕元衆議院議員は「森林保護や震災復興など、反対しにくい名目で新たな税を導入し、目立たない形で課税が進んでいる」と指摘する。
実際、復興特別税は住民税に、森林税は同じく住民税に上乗せされており、給与明細に明示されることはない。このため、国民が増税に気づきにくくなっている。
増え続ける社会保険料、そして「独身税」化
ステルス増税の温床となっているのが社会保険料だ。2026年4月からは、医療保険料に「子育て支援金」が上乗せされる予定で、年収600万円の場合、月1000円程度の負担増が見込まれている。婚姻や子どもの有無に関係なく徴収されるため、子どもを持たない世帯では「独身税」とも呼ばれ、批判が高まっている。
通勤手当課税も!?今後の懸念
さらに将来的には、現在非課税である通勤手当への課税も検討されている。税率10%で月2万円の通勤手当を受け取っている場合、年間5万円近くの負担増となる計算だ。これは交通費として使用される手当でありながら課税対象とされるため、サラリーマンにとっては大打撃になる。
複雑化する税制、知らぬ間に搾り取られる国民
こうした状況に対し、専門家からは「税制が複雑すぎて、自分がいくら税金を払っているのか分からない」という声もあがっている。2023年度の国の税収は4年連続で過去最高を記録したが、その一方で国民の手取りは減り続けている。
「気づかれないように負担を増やす」ステルス増税の数々。今後も、知らぬ間に家計を圧迫する増税が続く可能性は高い。
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