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この国は今、歴史的な転換点を迎えています。かつてないほどの人手不足が日本の経済構造そのものを変えつつあるのです。個人も企業も、この新たな現実とどう向き合うべきか?人口減少時代のビジネスモデルはどこへ向かうのか?最新データが示す衝撃的な現実と、そこから見える未来を徹底解説します。
なぜ今になって給与上昇が始まったのか?地方都市で進行中の労働革命とは?人件費高騰が引き起こす新しいインフレ時代、「失われた30年」からの脱却シナリオ、そして誰もが働く社会への移行...話題書『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』では、豊富な統計データと現場取材をもとに、激動する日本経済の核心に迫ります。
賃金上昇は止まらない!企業間の人材争奪戦勃発

写真:現代ビジネス
"人手不足"という言葉には深い意味があります。それはつまり、従来のような低賃金・長時間労働では人が集まらなくなったという事実を示しています。この新しい現実において企業に残された道はただ一つ - 「より高い給与」か「より短い労働時間」での人材確保です。今後数十年にわたって続くと予想される労働力不足の中で、企業は否応なしに継続的な賃上げを強いられることになるでしょう。
しかし驚くべきことに、多くの経営者はいまだにこの変化に対応できていません。パーソル総合研究所2022年調査によると、「会社成長なしでは賃上げできない」と考えている経営者が63%、「賃上げなしでは会社成長できない」と答えたのはわずか6.4%でした。
しかし時代は確実に変わっています。先見性のある企業は既に行動を開始しています。「人材獲得競争で負けたくない」という危機感から同業他社間で賃上げラッシュが発生し始めているのです。
これからの日本では想像以上のペースで自律的な賃金上昇が見られるでしょう。人口動態を見れば明らかなように今後数十年間労働市場における需給バランス改善期待薄ですますます希少価値高まる人的資源名目・実質両面での持続的所得向上避けられない流れとなるはずです。