近年、ガソリン価格の高騰が続いており、特にプレミアムガソリンを必要とする車のオーナーにとっては家計への圧迫が深刻です。2004年には1リットル約120円だったレギュラーガソリンが、2024年には175円を突破。プレミアムガソリンに至っては2023年に190円近くまで値上がりし、その差は歴然としています。この背景には消費税増税や国際情勢の影響など、さまざまな要因が絡み合っています。

こうした状況下で、「少しでも節約したい」という思いから、本来プレミアムガソリン指定の車両にレギュラーガソリンを給油することを検討するドライバーが増えているようです。しかしこの選択肢にはどのようなリスクがあるのでしょうか？自動車メーカーの見解や専門家の意見をもとに詳しく解説します。

自動車メーカーによると、緊急時などの一時的な使用であれば大きな問題はないとのことです。現代の車両には高度なエンジン制御システムが搭載されており、燃料品質の違いにある程度対応できるよう設計されています。ただしこれはあくまで「緊急避難的措置」として考えた場合のお話。

実際にレギュラー給油を続けた場合、(1)燃費性能の低下(2)加速時のレスポンス悪化(3)エンジン音や振動の変化といった現象が見られるケースがあります。特にターボチャージャー搭載車や高出力エンジンを備えたスポーツカーではその傾向が顕著で、「乗り味」に明らかな違いが出ることも少なくありません。

長期的な視点で見るとさらに注意が必要です。(1)燃焼室内部へのカーボン堆積(2)点火プラグへの負担増加(3)排気系部品への影響など、目に見えない部分でのダメージ蓄積も懸念されます。「安いから」という理由だけで燃料グレードを下げる選択は、結果的に修理費用として跳ね返ってくる可能性もあるのです。

もちろん経済的負担軽減のためにできる対策もあります。(1)運転スタイルを見直す（急発進・急加速を控える）(2)定期的なメンテナンスを行う(3)最適なタイヤ空気圧を保つなど「日常的な工夫」で燃費向上を図ることが先決でしょう。「100円以上の差があるなら...」と安易に燃料グレード変更する前に試すべき方法と言えます。

特に中古車市場で購入した輸入スポーツカーなどを所有している場合は要注意です。「日本仕様ではないためオクタン価要求値が異なる」「過去オーナーの使用履歴不明」といったケースでは尚更慎重になる必要があります。「ちょっとくらいなら...」という軽い気持ちでの判断よりも「このクルマにとって何が必要か？」という視点を持ちたいものです。