日本の人口減少問題はますます深刻になり、2023年の出生数が70万人を下回る可能性が高まっている。これにより、経済や社会に与える影響が広がり、特に労働力不足が各業界で顕在化している。その中でも、自動車業界における整備士の不足は、意外な形で現れつつある。
自動車業界は、戦後の日本経済を支えてきた重要な産業の一つだが、今、整備士の数が不足しているという問題に直面している。自動車は単に販売されるだけでなく、安定的に運行するためには定期的なメンテナンスが不可欠だ。しかし、高齢化が進む中で、特に高齢者が車を長期間使用する傾向が強くなり、そのために整備の需要が増加しているにもかかわらず、整備士が不足しているという現実が浮き彫りになっている。
高齢者の自動車保有が増加し、さらにクルマの性能が向上したことが、長く乗り続ける人を増加させる要因となっている。しかし、長期間使用される車には部品の交換が必要で、整備士の需要が高まっているにもかかわらず、実際に整備を行う人材が不足している状況だ。このままでは整備の遅れが車離れを加速させる可能性があり、業界にとっては大きなリスクとなりかねない。
実際、整備士の数は減少しており、特に自動車整備学校への入学者数は顕著に減少している。2003年には1万2300人だった入学者数が、2016年には約6800人にまで減少し、44.7%もの大幅な減少を記録した。この数値は、高校卒業者数の減少率である17.3%と比べてもかなり大きな差がある。
さらに、2012年から2016年の間に自動車整備職の有効求人倍率は他の職種を上回り、年々その差は拡大している。これらのデータは、自動車整備士の人材不足が年々深刻化していることを示している。2020年度の自動車整備学校への入学者数も約6300人にとどまり、学科試験の申請者数は2005年度の7万人からほぼ半減している状況だ。
この問題を受けて、国土交通省は整備士の職業紹介を促進するために啓発ポスターを作成し、解決策を検討する有識者会議を開いている。人口減少の影響を受ける自動車産業は、今後ますます重要な課題となり、業界の持続可能性を確保するためには、新たな対応が求められている。
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