今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。 原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟とは。
森永卓郎氏と、息子の康平氏がいまの日本のさまざまな病巣についてガチンコで語り合った魂の一冊『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第19回
『政府が日本経済を破壊した…故・森永卓郎さんが指摘した、大恐慌時代に日本政府が行った“最悪な財政”』より続く。
「昭和恐慌」と同じことがこれから起こる!?
「昭和恐慌」時の日本はひどい状況だった。
東北の貧しい農家では、生活のために娘を身売りさせるしかなかった。若者は大学を出ても就職先がなく、「大学は出たけれど」という言葉が流行語になった。
アメリカもひどい状況で、失業率は25パーセントと、4人に1人が失業者だった。
各国とも経済が疲弊するなか、ブロック経済化が進み、最終的には世界大戦へと発展していくことになる。
私はこれと同じことがこれから起こると考えている。
これはメディアが報じない「不都合な真実」の一つだが、いま日本は途轍もない金融引き締めと緊縮財政を断行している。
「財政赤字」のウソ
日本銀行は2024年3月と7月に政策金利の引き上げを断行した。
財政政策は、もっとひどい。コロナ禍が起きた2020年度、つまり安倍政権末期の基礎的財政収支を見ると、80兆円も赤字だった。しかし、岸田政権下で緊縮財政に転換し、赤字額は約8兆円まで減っている。たった3年で、赤字が約70兆円以上も減っており、非常に急激に財政を引き締めたことを意味している。
財政赤字がどれだけ増えようとも、政府が破綻することはない。これは財務省も認めており、財務省のホームページにもしっかり書かれている。
政府や日銀は、「財政赤字が巨額になると、円も国債も暴落して、ハイパーインフレになるぞ」と言っていたわけだ。
ただ、ハイパーインフレは起きていない。たしかに近年は物価上昇が起きているが、インフレ率は2パーセント程度で、ハイパーインフレではまったくない。
そもそも現在の物価上昇は、ウクライナ紛争開始による輸入物価上昇という側面が大きい。一時は1ドル=162円に迫り、アメリカの金利引き上げに伴い大幅な円安が発生したことも物価上昇をもたらしているが、決して放漫財政のツケではない。
現状の日本の財政赤字の規模は、ハイパーインフレを招くようなレベルではまったくないのだ。
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